更新 2020/8/31
医療費を考慮してくれる医師ばかりとは限らない
現在、医療費の自己負担割合は、70歳未満の方と現役並み(年収約370万年以上)の所得がある70歳以上の方は3割、一般・低所得の70~74歳の方は2割、一般・低所得の75歳以上は1割となっています。
よほど裕福な一部の方を除いて、たいていの方はご自身にかかる医療費が気になると思います。特に長期間の通院が必要となる病気の場合には毎月の医療費が積み重なることを考えると、健康は大事だが少しでも安く済ませたい、と思う方は多いでしょう。
医師は学生時代に医学の勉強を熱心にしていますが医療費制度についてはほとんど教わりません。研修医として働き始めると、まず入院患者さんを担当しながら、やがて一般外来・救急外来などを担当します。当然ですが初めは医学的なこと(病気の診断や治療)に没頭し、患者さんの医療費のことまではなかなか気が回りません(少なくとも私がそうでした)。ではいつ医療費のことを含めて診療を組み立てるようになるかというと、自身の専門外来を持ち始めてからです。日々の診療において、患者さんから高額な検査や治療は受けられないと言われ、医学的に最善だと思われることが必ずしも本人にとって最善だとは限らないと気付くのです。
医療費が負担に感じる場合は、遠慮なく伝えてください
言いにくいことかもしれませんが、高額な医療費でお困りであれば、先生に「経済的な事情で、費用の高い検査や治療はなるべく控えたい」と正直に伝えてよいと思います。
ひとりひとりの患者さんにはそれぞれ病気の背景(基礎疾患)があるように、経済的な背景があります。そのことをよくわかっている医師であれば、患者さんから高額な検査や治療を控えたいと言われたときにも決して嫌な顔をせず、限られた費用でどういった選択ができるかを一緒に考えてくれるはずです。
もし、患者さん自身の病気に対する見通しが甘く(それほど悪くないと誤解していて)、経済的に払えなくはないもののできるだけ費用を節約したい、という考えで本来必要な検査や治療に消極的であった場合であっても、熱心な医師であれば時間をかけてもその必要性を説明してくれるでしょう。
大事なのは患者さんが、この医師は自分の経済状況をわかったうえで診療を組み立ててくれている、という安心感だと思います。普段からそういった関係が築けていれば、決して安くはない検査・治療であっても、この先生が必要と考えるものであればなんとか受けよう、と思えるのではないでしょうか。