更新 2021/1/27
関節の曲げ伸ばしがつらいとき、大きく3通りの原因が考えられます。
1つ目は、その関節や腱などに炎症があって痛みや腫れが原因で、動かすと痛いもしくは動かしづらいという状況です。関節炎や腱鞘炎がある部位は実際、曲げ伸ばしが困難になります。ただ、その炎症が引けば痛みや腫れがとれるため、ほぼ元通りに動かすことができます。
2つ目は、関節を動かさない期間が長かったため、関節が拘縮して(凝り固まって)、可動域に制限が生じた状況です。例えば、腕を骨折してギプスしている間、肘の関節は動かせません。これによって拘縮が生じるため、ギプスを取って初めて肘をまっすぐ伸ばそうとすると痛みを生じますし、反対側と同じところまでは伸ばせないことが多いです。ただ、もともと関節自体に問題があったわけではないので、リハビリをしているうちに元通り動かせるようになります。
1つ目と2つ目は同時に生じることがあり、炎症による痛みで長期間動かさなかったため関節が拘縮する場合がそれにあたります。この場合も、炎症が取れて適切なリハビリをすることによってほぼ元通りになります。
その他、糖尿病の患者さんが両手指を合わせて合掌したとき手のひらが浮いて密着できない状態(Prayer sign)も手指の拘縮が関係しています。
3つ目は、関節の破壊、(骨と骨をつなぐ)靭帯の損傷、(骨と筋肉をつなぐ)腱の癒着など構造的な変化を生じてしまった状況です。癒着はある程度剥がせる可能性があり、切れた靭帯は手術で繋ぎなおすことができますが、破壊された関節は現在の医療では元に戻すことができず、人工関節に置換するしかありません。
早期に寛解できなかったリウマチ患者さんの関節は1つ目、2つ目、3つ目が重なり合うことによって曲げ伸ばしがつらい状態となっています。関節破壊の程度が軽ければ、炎症を取ってリハビリをすることにより、ある程度元の状態に戻すことは可能ですから、諦めずに取り組みましょう。