更新 2021/5/25
レイノー現象とは、主に手足の先(稀に鼻先や耳)にある小動脈が攣縮(発作的に収縮)を生じることによって末梢への血流が低下する状態のことです。
典型例では、寒冷刺激や精神的ストレスなどをきっかけに血管攣縮が生じて血流が低下することで皮膚が真っ白になり、チアノーゼ(酸素化不足)を生じることで青紫色になり、数分で元に戻ります(血流が再開することで皮膚が充血して真っ赤になる場合もあります)。この現象を最初に報告したフランスのレイノー医師(Dr.Raynaud)にちなんで彼の名が付けられています。
レイノー症候群、レイノー症状と呼ばれたり、レイノーと略されることもあります。また背景になんの病気も関与しない原発性のレイノー現象をレイノー病と呼ぶことがあります。
原発性に対して、なんらかの病気が発症に関連しているものを続発性と呼びます。
続発性レイノー現象の原因としてはまず膠原病が挙げられます。その他に、血液疾患(クリオグロブリン血症など)、血管閉塞性疾患(閉塞性動脈硬化症など)、神経原性障害(手根管症候群など)、薬剤(β遮断薬や抗癌剤など)、職業などの環境要因(振動機器を用いた業務など)によっても生じることがあります。
膠原病においてレイノー現象を生じる頻度は全身性強皮症と混合性結合組織病で90%以上と非常に高く、全身性エリテマトーデスでも30~40%に生じます。皮膚筋炎/多発性筋炎、シェーグレン症候群、血管炎、抗リン脂質抗体症候群などでも生じることがあります。
一般人口でも3~5%に生じるとの報告がありますが、原発性のレイノーだと思われていた約3000人をよく調べたらその後37%で膠原病が見つかったという報告もあります。
レイノー現象では血流障害を生じるため、ひどくなると強い痛みをともないます。重症例では平地に居ながら冬山で凍傷にかかったかのように指先が壊死してしまうこともあり、非常に危険です。日常的になるべく冷やさない(暖める)ことが治療の基本ですが、症状が強い場合は薬物療法が必須となります。
このような理由から、レイノー現象が見られたときは症状がひどくなる前に膠原病の精査をして適切な治療を受けることをお勧めします。