周りに理解されないつらい症状で苦しんでいる方、マインドフルネスを診療に用いてみませんか?
マインドフルネス(Mindfulness)とは
意図的に、価値判断にとらわれることなく、特定のやり方で、「今この瞬間」に注意を向けること。
自分や周囲をあるがままに観察し、頭の中を整理して穏やかに生活できる方法を学びます。
医療におけるマインドフルネスとは
1970年にマサチューセッツ医科大学のジョン・カバット・ジン博士が、禅の思想をベースとし、非宗教的なセルフケアの方法として『マインドフルネス・ストレス低減法(Mindfulness-Based Stress Reduction:MBSR)』を開発しました。
その後、現在に至るまで慢性的な痛みやストレスを抱える方への治療として世界中の病院やクリニックで利用されており、日本でも一部の施設でこれを用いた治療が始まっています。
昨今、様々なメディアでも取り上げられているように、マインドフルネスの考え方はビジネス、スポーツ、教育など多様な分野で用いられ、経営者やスポーツ選手など多くの著名人も日常生活に取り入れています。
医療の領域でも、今後マインドフルネスは更なる発展を遂げると考えられています。
マインドフルネスの実践
マインドフルネスの定義は「意図的に、価値判断にとらわれることなく、特定のやり方で今この瞬間に注意を向けること」です。しかしこの様に説明されて、いきなり実践できる人はいないと思います。
いかにして「自分や周囲をあるがままに観察し、頭の中を整理して穏やかに生活できるか」を学びます。
これらは一度の実践で身につく(効果が出る)ものではなく、何度も繰り返し、普段の生活に定着して初めて効果が現れるのです。
リウマチ膠原病領域における世界的な取り組み
リウマチ膠原病の方は長期に渡って痛みなどの症状や、周囲の理解が十分得られないことに苦しみ、結果として不安を感じたりうつに至る事が多いと言われています。
欧州リウマチ学会(EULAR)では、2015年よりマインドフルネスを治療に併用することが推奨されています。また海外の研究ではマインドフルネスによって痛みの症状が軽減し、関節リウマチの疾患活動性評価が改善することも報告されています(Ann Rheum Dis. 2015 Feb;74(2):472-4.)。
リウマチ膠原病などの難病を抱えて悩んでおられる方、できる限り薬以外の方法で症状を緩和させたい方、ご自身の取り組みで積極的に病気と向き合っていきたい方、マインドフルネスの考え方を併用して治療を行ってみませんか?
担当:川合 聡史(かわあい さとし)