更新 2021/1/27
手足が変形する原因としては先天異常・ケガ・腫瘍によるものを除くと、主に変形性関節症とリウマチ膠原病(の一部)の2つが挙げられます。
変形性関節症は手足の様々な部位にみられるもので軟骨の摩耗とともに骨破壊・骨新生が起こり変形を生じます。手指のヘバーデン結節、ブシャール結節、母指CM関節症など関節部分の隆起やズレが有名です。
リウマチ膠原病の一部でも変形を生じますが、その原因は大きく二つに分かれます。
ひとつは破壊性関節炎によって生じる骨や軟骨の破壊によるもの、もうひとつは非破壊性関節炎によって生じる関節の亜脱臼や腱の過伸展など正常な状態からのズレによるものです(これらは破壊性関節炎によっても生じることがあります)。
関節が変形する病気として最も有名な関節リウマチは破壊性関節炎を生じることで知られており、破壊による変形とズレによる変形の両方を同時に生じ得る病気です。
全身性強皮症は関節リウマチほど頻度は高くありませんが破壊性関節炎を生じ得る病気であり、強い関節炎をともなう場合に変形を生じることがあります。また全身性強皮症は関節炎がなくとも手足の皮膚硬化によって屈曲拘縮を生じ変形をきたすことがあります。
全身性エリテマトーデスは非破壊性関節炎を生じ得る病気で、これによる手指の変形はジャクー関節症として知られています。ジャクー関節症は関節リウマチのような骨破壊を伴わない「整復可能な関節亜脱臼」が特徴で、手指の尺側偏位やスワンネック変形をきたします。ジャクー関節症はシェーグレン症候群や成人スティル病にも生じることがあるようですが、私自身は今のところ全身性エリテマトーデスの患者さんでしか見たことがありません。
リウマチ膠原病から少し外れますが、痛風発作を繰り返す慢性痛風においても痛風結節とともに破壊性関節炎がみられることがあります。
その他、ばね指(屈筋腱鞘炎)を放置した結果として屈曲拘縮によって変形が生じてしまうことがあります。 ばね指はそれ自体が単独で生じる場合と、リウマチ膠原病にともなう関節炎に付随して生じる場合があります。