更新 2021/1/27
関節の腫れ(腫脹)は関節炎が原因で生じます。骨折・捻挫・打撲などのケガでも急性の炎症によって腫れを生じるため、関節付近の場合は見分けづらい場合があります。たとえ炎症がなくとも、皮下出血などがあればやはり腫れを生じるめ、関節腫脹があるときは関節痛と同様、まずケガの除外が必要です。
ケガではない関節腫脹で大切なことは、その腫れが柔らかいかどうかです。関節に炎症があるとき、滑膜という関節にある軟部組織が厚くなることと、その周囲に関節液が貯まることで腫れを生じます。肥厚した滑膜も関節液も硬いものではないので、柔らかく押せることが多く、後述する変形性関節症を見分ける際の参考になります。ただ、中には関節炎でも硬く感じるケースがありますので、それだけで決めつけることはできず、関節エコーやX線写真などの画像所見を参考に判断していきます。
紛らわしいものとして、変形性関節症による関節の腫れがあります。こちらは骨性増殖にともなう関節部分の骨の出っ張りが主なので、硬く触れるのみであることがほとんです。ただ、変形性関節症においても一部急性の炎症がある場合には、その腫脹もより強くなる場合があります。
その他、手指や足のむくみも関節腫脹と誤認されやすく、むくみなので柔らかく押せますが、関節付近に限定しているわけではなく、診察時の視診や触診で判断します。
関節痛と関節腫脹、どちらも症状が強い、長く続く、繰り返す、複数の部位に生じるなどの場合にはリウマチ膠原病の専門的な評価を少なくとも1度は受けたほうがよいでしょう。
特に関節腫脹は比較的強い関節炎に生じやすいため、できるだけ早期に受診するのが望ましいと考えます。