リンパ節腫脹

更新 2021/4/26

リンパ節腫脹とは全身のリンパ節の一部が1cmを超えて腫大することを指します。
体の表面にあって触れやすい頸部・腋窩・鼠径部などの腫れは自身で気付くことができますし、体の深部にあるリンパ節の腫大をCTなどの画像で指摘される場合もあります。

体には血液の流れの他にリンパ液の流れが存在します。 リンパ液とは、血液の一部が末梢の毛細血管などから分岐したもので、細胞成分は主にリンパ球などの免疫細胞から成ります。リンパ液はリンパ管を通って最終的には静脈血に合流し全身を巡ります。リンパ節はリンパ管の途中にある関所のようなところで、リンパ液に含まれる微生物などの異物を感知(抗原提示といいます)してTリンパ球を活性化し、微生物との戦いの拠点となります。大まかにですが、微生物が侵入する部位によって耳・鼻・喉などは頸部リンパ節、手指や腕は腋窩リンパ節、足や陰部は鼠径リンパ節が防衛の役割を担います。

リンパ節腫脹の8割以上はこのような免疫反応(感染症や膠原病)にともなう反応性の腫脹で、急性(数日)の経過で生じ、疼痛をともないやすいという特徴があります。なかには亜急性(数週)の経過で生じ、疼痛があまりない場合もあります。反対に慢性(数ヵ月)の経過で生じ、無痛性の場合には腫瘍性の腫脹を疑う必要があります。
このように発症からの時間的経過や疼痛(炎症)の有無を確認しながら血液検査や画像検査を進め、同時に出現している症状や検査異常を考慮して原因を突き止めていきます。数日から数週間で自然軽快するものは一時的な感染症にともなうものであった可能性が高いため心配ありませんが、リンパ節が2~3cm以上に腫大している場合や1~2ヵ月以上腫脹が続く場合は、手技的にアプローチ可能な部位であればリンパ節生検での病理学的評価を行います。

リンパ節腫脹の原因は感染症、膠原病、悪性腫瘍が代表的です。
感染症は前述したように急性経過のものが多く自然軽快や治療により消退していくものがほとんどですが、結核などの場合は慢性経過をたどるものもあります。
悪性腫瘍では悪性リンパ腫のほか、固形癌のリンパ節転移でみられることがあります。通常は無痛性ですが、腫瘍が急速に増大した場合は疼痛をともなうこともあります。

膠原病関連ではまず壊死性リンパ節炎(菊池病)が挙げられ、なかにはゴルフボール大にまで腫大する場合もあります。成人スティル病や全身性エリテマトーデスではよくみられ、 サルコイドーシス、IgG4関連疾患 、混合性結合組織病、シェーグレン症候群、関節リウマチ、皮膚筋炎などでもときどきみられます。シェーグレン症候群では唾液腺腫脹と頸部リンパ節腫脹が紛らわしい場合もありますが、腫脹の強い場合は特に悪性リンパ腫発症に関して注意が必要となります。
そのほか、リウマチ膠原病の治療薬に起因するものとして、MTXリンパ腫などの免疫不全症関連リンパ増殖性疾患が挙げられます。その多くは原因薬剤の中止により軽快するものが多いため、特にメトトレキサート内服中の方でリンパ節腫脹が気になり始めた方は先生に確認するようにしましょう。

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院長
清水 久徳
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