更新 2021/2/14
筋肉痛について
筋肉痛は筋肉そのものから生じます。一見、筋肉が痛むように思えても実は筋膜(筋肉を包む膜) 、関節周囲、骨などが原因の場合もあります。普段より激しい運動をしたあとの全身の筋肉痛や、こむら返り(筋肉の痙攣によって足がつる感覚)を経験したことは誰でもあるでしょう。また、肉離れなどのケガによって強い筋肉痛を経験した方もおられるでしょう。これらと違って自分で思い当たるふしのない筋肉痛を感じたときは病気の存在を考えなければなりません。
筋肉痛を生じる病気としては感染症(インフルエンザなど)、薬剤性(脂質異常症治療薬のスタチン製剤など)、内分泌疾患(甲状腺機能亢進症・低下症など)、リウマチ膠原病疾患などが挙げられます。その他、ストレスや線維筋痛症など慢性疼痛として筋肉痛を生じる場合や、稀ですが横紋筋肉腫という腫瘍によるものもあります。
このうち、スタチン製剤による筋肉痛は数%の頻度で生じるものであり、内服開始後しばらくして筋肉の痛みやだるさを感じた場合には内服を中止するだけで改善するため、脂質異常症の薬を飲み始めた方はご注意いただきたいと思います。
リウマチ膠原病疾患による筋肉痛は自己免疫反応による筋炎によって生じます。皮膚筋炎/多発性筋炎が代表的ですが、混合性結合組織病、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群などでも生じることがあります。結節性多発動脈炎でも筋肉痛を生じますがこれは主に血管障害にともなう虚血性筋炎によると考えられます。その他、リウマチ性多発筋痛症では腱鞘滑膜炎や滑液包炎によって、好酸球性筋膜炎は筋膜の炎症によって、それぞれ筋肉痛と類似した痛みを感じます。
筋力低下について
筋肉は運動神経を通して電気信号による支配を受けています。
筋肉そのものが障害されたときと、運動神経やその伝達が障害されたときに筋力低下が生じます。
その原因としては筋ジストロフィー、重症筋無力症、ギランバレー症候群や数多くの中枢神経疾患など脳神経内科(外科)領域の病気がまず挙げられます。
リウマチ膠原病疾患による筋力低下は、先に述べた筋炎をともなう病気のほか、神経障害を呈する各種血管炎や神経ベーチェット病などによって生じることがあります。
筋肉痛や筋力低下を生じたとき、血液検査項目のCK(CPK)が上昇しているかどうかが重要となります。
※CKの詳細については別ページで解説する予定です。