更新 2020/8/31
同じ病名でも、治療方針は個人差が大きい
現在治療中の方の中には、ご自身の病気や治療に関する見通しをお聞きになっていない方もいらっしゃると思います。病気というものは、同じ病名であってもそもそも個人差がありますし、また同じ人でも時期や状況によって差が生まれることも多いです。
医師側からすると、確信をもって診断をつけられる状況であれば見通しの説明もしやすいですが、そうでない場合もときどきあります。病名が確定するまで待てる状況であればもちろんそうしますが、待つことによりさらに悪化したり取り換えしのつかないダメージを体に残す可能性が高い場合には、ただ待つという行為は最善ではありません。
この場合、「確定診断がつくまで治療行為をせず待つことのリスク」と「誤った方向性の治療を行うリスク」を天秤にかけることになります。
もちろんなんの根拠もなく闇雲に治療を開始することは治療の方向性が間違っていた場合、患者さんにとって不利益になるため論外ですが、診断が確定できずともおおよその診断・治療の方向性はわかる、という状況はしばしばあります。また、病気によっては治療をしたときの反応性をみて確信をもって診断をつけられる(治療的診断といいます)ときもあります。
不安があれば、医師に気軽に質問を
このようなときには、我々医療者は患者さんの不安をできるだけ取り除けるよう丁寧に説明し、理解していただけるよう努めるべきだと思います。一方、患者さん側としてもご自身の病気や治療に関心を持っていただき、診療とは良い結果を必ず保証するものではないということをご理解いただきながら、医療者とともに良い結果に向かってその都度ベストな選択をしていっていただければと思います。
本来であれば医師からお伝えすべきことではありますが、診療の比較的早い段階で見通しが立ちづらい状況であったり、日々の忙しさゆえ医師が患者さんに説明する時間を取りづらい状況である場合、見通しに対する説明が十分なされていないことがあるかもしれません。
今後の見通しに対して不安を感じている場合には、「私の病気の見通しを教えてください」、「私の治療の見通しを教えてください」などと先生に質問してみましょう。