実態の掴みにくい「リウマチ膠原病」という病気を前に、ご自身で情報収集される方は多いと思います。
患者さんの中には大変勉強熱心な方もいらっしゃいます。参考にする媒体はというと、医学書などの本はとっつきにくいこともあり、手軽に調べられるインターネットを通して情報を得ようします。
難病申請に関わるページや薬の添付文書情報など医療者も参考にするものから、素人が語るいい加減なものまで、ご存知のようにインターネットの情報は千差万別です。誤った情報によって病気を軽んじたり、逆に不必要に恐れたりする方も大勢いらっしゃいます。
病気や薬に関する情報全般に言えることですが、情報が網羅的になっており、ごく稀(数例の症例報告レベル)に生じるような重篤な症状や副作用が強調され過ぎるあまり、過度な恐怖心を持って外来を訪れる方もいらっしゃいます。
ここではリウマチ膠原病の特徴や注意点などを挙げていますので、参考にしてください。
まず、リウマチ膠原病と馴染みの深い下記の5つの言葉について用語解説いたします。
炎症とは
病的刺激に対する生体組織の防御反応のことで、発熱(熱感)・発赤・腫脹・疼痛などを生じます。
病原体、外傷、化学物質などの外的要因や(後述する)自己免疫反応などの内的要因が原因となります。
免疫とは
異物(本来の自分ではないもの、非自己)を生体(自己)から排除して自分を守る役割のことです。これを担う様々な種類の免疫細胞たちがお互いに連携して免疫システムを構築することにより、生体防御を行っています。
異物(非自己)のみに反応し、生体(自己)には通常反応しません(免疫寛容と呼ばれる状態です)。
免疫は大きく「自然免疫」と「獲得免疫」に分かれます。
元々(自然に)備わっている自然免疫は、病原微生物に対して反応し一定の防衛機能を果たします。
後天的に備わる(獲得される)獲得免疫は、過去に体内へ侵入した病原微生物を認識して特異的に反応します。
アレルギーとは
外的な異物(非自己)に対して過剰な免疫応答を生じる病的反応のことであり、体を守るために異物を排除しようとする反応が強すぎる場合に生じます。異物への反応がきっかけとなっているため、原因物質を排除することによって再発を防ぐことが可能です。
自己免疫反応とは
本来無反応であるべき生体(自己)に対して免疫応答を生じる病的反応であり、免疫寛容が破綻した状態のことです。自身の肉体そのものが反応のきっかけとなっているため、アレルギーと違って原因物質を排除することができません。
膠原病とは
自己免疫反応が全身性(単一臓器におさまらない)に生じる病気、全身性自己免疫疾患のことです。臓器特異的(単一臓器の)自己免疫疾患である橋本病・バセドウ病、潰瘍性大腸炎・クローン病、自己免疫性肝炎・原発性胆汁性胆管炎、天疱瘡・類天疱瘡などはいずれも自己免疫疾患ではありますが単一臓器がターゲットのため膠原病には含まれません。
リウマチ膠原病領域で扱う病気としては獲得免疫による上記の膠原病以外にも、自然免疫による自己炎症性疾患などがあります。